2013/06/16 ウルシガ谷沢

クライミングジム終了後、突然K将軍に日曜日空いているかと聞かれ、父の日だから無理っすとお断り申し上げたが、『今日、父は死んだ。お主には父の日は存在しないのじゃ』。Aが行かなくなったからお主が来い、と不条理的強制参加となった。「どこへ行くんですか?」『ウルシガ谷沢じゃ』『右俣を登り、左俣を下る。最近の雨で水量が多くなっているはずじゃから、ひっひっひー』『ワシが鍛えなおしてやるから、ついてこい。特訓じゃー。』
SKのKO‐BOYことK将軍率いるTEAM DEN-DEN久々の出陣である。

トポに書いてある通り、入渓地点の近くまで車で行こうとすると、通せんぼされていた。
看板には、一般車通行禁止とあった。
『かまわん、通過するのじゃ』K将軍が言ったが、「いや、何かあったらまずいですから、手前で駐車しましょうよ」となだめ、そうすることになった。

雨は小降りなもののまだ降り続いていて、少し寒い。
準備をしていると、『ロープはワシが持つ』
いやー、頼もしい。
将軍の後をひっそりついて歩いていく。途中、車に追い越されて、あれと思っていたが、その人とその後話したところによると、魚釣りで先に入りたいと市役所に言ったところ、あの鎖は外して通っていいとのことだった。
将軍がニヤリとしていたので、どうやらご存じだったらしい。
まあ、入渓点まで良い足慣らしとなった。
次の一般車通行止めを越え、少し登っていくと、『ここが入渓点じゃ。ここから入るぞ。入る前に、ウルシガ谷沢の神様にお手を合わせるのじゃ。』
仰せの通りに。
入渓してみると、幅が狭く、奥多摩的な沢だと感じた。
小ゴルジュをなんなく通過するとすぐに、二俣になった。
予定通り、右俣を行く。

久しぶりの沢登りなので、2条12mの滝を見ただけで、ゲップがでた。
PAで朝食の時に将軍から『これを食うのじゃ』ともられたニンニクが臭った。なんでも、ニンニクはゴ・・・東郷先生がヒマラヤでのビバークのときのために持っていったほどのものだから、無料であるならアタックの前に食べておけと。
将軍がトップを行くということで、安心して準備をする。
「これなんですか」とギアを指して聞くと、
『これか、これはボールナッツじゃ。これはこうしてこう使うのじゃ。今日が初めてじゃ。ひゃっひゃっひゃー』と少年のように目を輝かせながら嬉しそうにいじっていた。
トポには、中央のカンテを乗越して右の水流沿いを登ると書いてあるが、水量が多くてそのルートはとれそうにない。
「増水していますが、大丈夫ですかね」と恐る恐る尋ねると、
『大丈夫じゃ。ワシは登れるのじゃ。虎はなにゆえ強い? もともと強いからじゃ』
さすが、我がチームの傾奇者。
将軍は、2か所にカムとボールナッツをキメ、左の水流沿いに登り、上部に立った。水しぶきを浴びて佇んでいる。
ざわ、ざわ、ざわ・・・
とそこへ、カエルがぴょーん。どうやら、カエルとにらめっこしていたらしい。
瞳術をかじっている将軍とは勝負にならなかったようだ。
それからまもなく、ロープの合図が来て、登る。
上部は完全なシャワークライミングとなった。落ち口のところをのっこすのが核心。滝の中の左カチを探し、左スタンスに一気に体重をのせる。上部はぬめっていると書いてあったが、ぬめっていなくて良かった。無事登り終える。
お次は・・・と思いきや。
将軍が『冷たいのイヤじゃ』と言い出した。
酔っぱらったときの、見かけは大人中身は子どもに変身している。
じゃ、俺が行きますよ。と言いかけたが、『黙れ、小童がー!』と一喝されるのが恐ろしく、「じゃ、巻きましょう」と賛同した。
将軍が巻き道を発見し、プロテクションを3か所とって登って上の木までいく。
『一旦ここまで来るのじゃ』と言われ、登っていく。
雨が降っていたせいもあり、落ち葉で覆われた巻き道は滑りやすく、危険度が高かった。
そこから少し登り、沢に戻るときも、滑りやすいため、念のため懸垂で降りた。
上から滝を見ると、ホールド・スタンスが全然見えず、もし挑戦していたら登るのが大変だったと思い、胸をなでおろした。

次の5m滝は、確かにトポ通り快適に登れた。
その後の3mと4m滝でウルシガ谷沢水鳥拳を食らった。
レインウエアーの両袖に水が勢いよく入り込み、脇の下まで・・・チョーちめたい。
剛掌波をよけたことがある将軍もこれには参っていた。

最後の5m滝は、トポ通り倒木が2本あったので、完全なシャワークライミングだったが、楽に登れた。

そこからしばらく歩くと、二俣に。
『巻物を出せ』と言われ、トポ図を手渡す。
『ここじゃな。ここを左じゃ。』
すぐにナメ滝が現れ、そしてしばらくすると落ち葉ラッセルとなった。
湿っていてずぼっと入った。
しかし、そのまま傾斜もきつくならなく、登山道に出られた。
最後ら辺は、踏み跡があった。
そこから、休憩するために醍醐分岐に行く。
展望がないが、とりあえず小休止。
地図で下降地点を再確認して、出発。

落ち葉ラッセルをし始めすぐに、右俣に出合った。

まもなく、10m滝に。
『これはクライムダウンは無理じゃな』と言い、木にロープをセットして懸垂下降した。
将軍の後に続き、降りた。
この先は、懸垂下降はしなくても大丈夫だった。
問題なく二俣に着いた。
しばらくすると、将軍の歩きが変になった。
デューク更家ウォークングをしている!?
「どうかしましたか」と聞くと、
『ちょっと待っておるのじゃ』と言い残し、将軍は姿をくらました。
15分くらいして笑顔で戻ってきて、『永き宿怨に終止符を打ってきたのじゃ』と。
それから何もなく、入渓点に到着。
『お礼を申し上げるのじゃ』
仰せの通りに、お手を合わせる。
沢から出ると、天気が快晴になっていた。
気持ちよく林道を歩き、駐車場へ。

帰りは、瀬音の湯で汗を流した。
露天で、まぶしい太陽を浴びながらボーとしていると、将軍がやってきた。
おお、40代には見えない体つきだこと。
なんか企んでいそうな顔つきでこっちに近寄ってくる。
イヤな予感的中・・・
『サウナじゃ。サウナで我慢特訓じゃー。』
将軍の特訓はまだまだ続く・・・のであった。

最後に、久しぶりの沢登り、高低差240mできついツメはなし、お手軽なルートとは思ったが、雨の中、増水していたのと、濡れた落ち葉は少し危険だった。トポには、他が増水しているときもここは登れるとは書いてあったが、増水しないというわけではなく、登れるというだけのこと。増水していれば、ホールド・スタンスが滝の中に隠れ分かりにくく、また水を浴びて冷たい思いもする。巻く場合も、滑りやすくなっているので注意が必要だ。初心者を連れて行く場合は、特に気を付けた方が良い。
左俣は、ところどころにピンクテープがつけられていた。入渓地点の木にもピンクテープが巻いてあった。
はじめはぎこちなかったが、左俣を下っているときに、ようやくヒタヒタ歩きに戻っている自分がいて嬉しかった。これを機に、今年も沢登りを楽しみたい☆

9:00駐車場⇒ 10:00入渓(右俣)⇒ 11:30上部ナメ滝⇒ 12:00醍醐分岐12:10⇒
12:15沢下り(左俣)開始⇒ 13:10沢下り終了⇒ 14:00駐車場

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