2013/7/28-29 充実の鹿島槍五竜縦走

メンバー (L)田中、中川、洞谷、岩谷、(田中記録)

日程       前泊7月28~29日
天候       28日曇りのち雨、29日雨
タイム
7月28日 5:00扇沢出発⇒8:00種池山荘⇒8:47爺ガ岳南峰⇒10:10冷池山荘⇒11:25布引山⇒12:15鹿島槍ヶ岳南峰⇒14:30キレット小屋
7月29日 5:25キレット小屋出発⇒6:28コル⇒8:40五竜岳⇒9:27五竜山荘⇒12:45アルプス平

計画
鹿島槍ヶ岳は僕にとって特別の山。まだ僕がうら若き頃、北アルプスデビューのとき青木湖畔にキャンプを張った時、見えた山が鹿島槍ヶ岳で、僕にとって山の姿と名前が初めて一致した北アルプスの山が鹿島槍だった。
計画は、一日の歩行を10時間程度を見込み、中間のキレット小屋泊とした。八峰キレットを五竜から行くか、鹿島槍から行くかの二通りだが、五竜へ上がるテレキャビンの運行が7:00からと出発が遅くなることを考え、扇沢発とした。
パーティメンバーは、洞谷さんはマラソン、自転車で鍛えた足があり、また、岩谷さんは、27歳と若く、さらにいままで3回の山行に同行し問題なしと判断した。彼にとっては北アルプスデビュー戦となった。中川さんについて問答無用の健脚なので問題なし。

天候判断
26日時点での大町市付近の天候は、28-29日両日とも曇り一時雨、降水確率40%。前線も南下しており稜線上で雨に降られる確率は極めて高いものが予想できた。しかし自分が下した結論はGO。理由は、先週の白馬唐松のように天気が急に好転することもあること、コース上に4つの小屋があること、洞谷さんとは木曽駒で、中川さんとは常念で雨天をものともせず山行を一緒に過ごしたこと、そして岩谷さんは若さに賭けたこと、など。

扇沢から種池山荘までは舗装された登山道
扇沢から種池山荘へ続く柏原新道はとても整備されて歩きやすい登山道。山行計画を提出し、5:00登山口出発。歩行順は、私、岩谷、洞谷、中川の順。扇見岬とか水平路とかところどころに名称がつけられており飽きさせない配慮がされている。悪天予想のおかげか入山者は少ない。時折針ノ木岳方向の山腹に日差しがあたり明るくなることもあった。4時間のコースタイムのところ3時間で種池山荘に到着。

柏原新道を元気に出発

種池山荘から鹿島槍ヶ岳はガス
稜線にでるとガスがかかり展望はなし。剱も鹿島槍も見えない。標識と踏み跡を見ながらの縦走となった。たまにガスが晴れると、東側が崩れ落ちたギザギザの稜線がはっきりとわかるが、立山連峰など遠望はまったくなし。爺ヶ岳、冷池山荘を通過。鹿島槍に向かう登りで雷鳥のつがいに出会い少しばかり和ませてくれた。12:15鹿島槍ヶ岳山頂到着。ここまでは危険個所なし。

鹿島槍からの展望はないが元気出そう

鹿島槍からキレット小屋までは雨
さあこれから核心部と鹿島槍を出発しようと思っていたら突然、雨が本降りとなった。ここからは岩場が連続する。それも下りとなるので濡れていると難度が上がる。メンバーとは安全第一、スリップによる転倒、三点支持をお互いに注意喚起しながらの行動となった。下りの岩場では岩が下向きの逆層に見える。スラブ状になっている岩は表面がぬれていると滑る。ひやひやものだが、バランスと三点支持で鎖にはお世話にならずキレット核心部へ近づく。

キレットで冷や汗
ガスに煙る核心部八峰キレットの岩場を通過し、地獄の門のような凶悪なゴルジュに圧倒されながら通過するとキレット小屋が近づく。ここで岸壁に角材が一本くくりつけられているトラバース道が待っていた。足場は針金でくくりつけられている角材一本だけ。よくまあ、こんな道?をつくったなと感心しながら鎖はつかまないぞ、と岩をホールドしながら慎重に通過、とそのとき右手でつかんでいた岩が突然剥がれ落ちた。大きさは一辺が15センチ程度の岩。何かを叫び、しかし両足とも角材の上にのっていたので事なきを得た。全身冷や汗でびっしょり。

恐怖の角材足場通過

キレット小屋は快適
28日宿泊の登山客は約30名。3-4名のパーティ山行が多いが、確認できただけでも単独行は4名。そのうち一人は女性。天気が悪くしかも日曜の夜だが人が多い。
14:30に到着し、宿帳に指名を記入、二階の4番のスペースが僕らの4名の寝床となった。乾燥室にレインスーツをかけ、寝床には布団がある。恥ずかしながら小屋泊りは3回目でそれも最初の2回は若きころのことで、全てが新鮮。荷物を片付けて、さっそく食堂に行ってビールで乾杯。本日の楽しくも長かった山行を振り返りながらのアルコールは回るのも速い。17:00には夕食。ハンバーグにポテトサラダ、小魚、山菜の突出し、味噌汁と豪華。小屋泊は楽だと感激しつつ、寝床に戻ると日頃の寝不足がたたり、18:00過ぎあっという間に夢の中と相成りました。

どうやってここに小屋をたてたのだろう

雨の中キレット小屋から五竜へ
起床4時、外は雨。気温は10度前後か。一枚余分にシャツを着てレインスーツに身を固め5時25分出発。キレット小屋を出るとすぐに岩場を登る。その後岩のトラバース道を歩き、尾根の岩場を越える作業の連続。雨の中でも岩場を通過するときは、登りはそれなりに楽しい。下りはスリップしないかどうか慎重になる。鎖場が続くなと思うとそこは難所のG5。五竜に近づくにつれて風も強くなってきた。8:40五竜山頂。雨とガスの中、展望はまったくなし。

濡れた岩場と格闘中

五竜小屋から遠見尾根を下山
五竜小屋で少々休憩。暖かいコーヒーがとてもおいしい。遠見尾根に入りようやくハイキングコースになった。7月初旬に熊が出没したらしい。ぬかるみの登山道を急ぎ足で下山し、ガスの中のテレキャビンのアルプス平の駅に12:45到着。

五竜に到達!お疲れ様!

この山行の○
扇沢から種池山荘までの登りを少し飛ばして1時間時間を短縮できた点、遠見尾根下山を早足で下り1時間短縮できた点など歩行時間をコントロールできた点が良かった。また悪天候の中、パーティがまとまって行動できた点は満足している。

この山行の×
雨天が予想される中、山行を決行しメンバー全員が無事に帰って来れたことはよかったと考えている。しかし、前日に五竜で滑落死亡事故があったと聞き、たまたまラッキーで我々が何事もなく通過できたのではないか、悪天候の中、GOしたのは正しい判断と言えるか?自分が行きたかったから決行したのではないか、天候判断は自分が都合よく考えた後付けの言い訳ではないのかと思い悩む。最後に悪天候の中、冷静に行動をともにしてくれた中川、洞谷、岩谷、パーティメンバーに感謝の言葉を申し上げたい。

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