2013/01/12-13 冬合宿 横岳・硫黄岳縦走グループ

報告者:Y田
メンバー:T中さん、N川さん、I村さん、Y田
天候:快晴!(稜線上は次第に風が強くなりました)
行程:6:45赤岳鉱泉→7:20~7:30行者小屋→8:40地蔵の頭→9:45横岳主峰→11:00硫黄岳→12:10赤岳鉱泉
(1/12美濃戸口から赤岳鉱泉に入山、1/13赤岳鉱泉より美濃戸口へ下山)OACに入会して初めての冬合宿に参加しました。1日目に赤岳鉱泉に入ってここをベースとし、2日目はバリエーション(阿弥陀岳北稜)、縦走A(赤岳・阿弥陀岳)、縦走B(横岳・硫黄岳)、縦走C(硫黄岳往復)の4グループに分かれて行動、私はBグループに参加することになりました。

行者小屋から仰ぎ見た赤岳

地蔵尾根から主稜線に登り、横岳・硫黄岳と縦走して赤岳鉱泉に戻る行程です。前日、初めての雪山テント泊にどんなに寒いのかと怯えていたのですが、この時期の八ヶ岳にしては異例の暖かい夜となり、快適快眠の一夜を明かしていざ本番を迎えました。当日の朝も冷え込みはさほど厳しくなく、上を見上げると雲一つない晴天。風も弱く、条件はどうやら絶好のようです。気持ちも軽やかに出発。まずは行者小屋まで足慣らしです。途中、地蔵の頭まではAグループの赤岳・阿弥陀岳チーム(I倉さん、Y川さん)と行動を共にします。

地蔵尾根から阿弥陀岳と中岳

行者小屋からいよいよ地蔵尾根を登ります。樹林帯をしばらく歩き、樹木がまばらとなって樹林帯から抜けると、早くも展望が開けていきます。目の前に赤岳が大きくそびえ、右には中岳から阿弥陀岳、左には横岳の岩峰群が大迫力で展開します。後ろを振り返ると北アルプスが白銀の屏風の様に連なっています。登るにつれて傾斜は徐々に急になり、鉄の階段や梯子・鎖が出てきます。難所ではアイゼンの置き方に気をつけながら一歩一歩確認するようにして登って行きます。主稜線に出る直前は特に難所が連続しますが、一歩一歩を確実に決めて進んでいけば恐怖心を感じることはありません。

地蔵の頭からこれから進む横岳方面

そうこうしている内に地蔵の頭に登りつめ、合流点の地蔵さんに迎えられて主稜線に出ます。さすがに稜線に出ると風は出てきましたが、展望はこれ以上無いほど抜群です。稜線の反対側には富士山も端正な姿を現しています。登ってきた西側には御岳から北アルプスまでがずらりと勢ぞろいし、足元には諏訪湖が輝いています。稜線上を見ると、南側は赤岳がもうすぐ目の前に聳え立っています。一方の北側は横岳のゴツゴツとした岩稜帯がすぐそこから始まっています。ここで赤岳チームと分かれていよいよ縦走路に入って行きます。

横岳の縦走路は基本岩場ですが、ルート自体、稜線上を進んだり、岩峰を巻いたりと変化に富んでいることもあって、雪の量や状態・風の状態などめまぐるしく変化していました。当日の風向きは諏訪側から佐久側へ吹いており、佐久側の岩裏ではうそのように無風になったり、吹きっさらしのコルからのトラバース部分では岩に氷が張り付いた状態となっていたりして、絶えず状況判断をしながら足を運んでいく作業が楽しかったです。鎖や梯子の難所も一歩一歩を決めながら前進して行きますが、下りの岩場は足場が見にくいので特に注意を払うようにしました。まあ、楽しいなんていっていられるのも抜群の条件に恵まれたからかもしれませんが。

阿弥陀岳と中央アルプス

 

横岳から振り返り見た赤岳・阿弥陀岳 背後には権現岳・南アルプスも

稜線上の鉄梯子を登って少したどるといよいよ横岳山頂(奥の院)です。だんだん風が強くなってきましたが、展望はさらに優れ、富士山、南アルプス(北岳・甲斐駒・仙丈)、中央アルプス、御岳、乗鞍、北アルプス、戸隠・頸城、浅間、西上州、奥秩父の山々すべてが見渡せました。北アルプスは槍・穂高から鹿島槍・五龍・白馬までの全貌をさらしていました。先日登った黒斑山も浅間山の右隣に望めました。つい雪山ばかりに目が行ってしまいますが、東の方向に目をやると、両神山や武甲山まで確認することができ、なかなかの感動でした。

硫黄岳山頂から北アルプス方面

しばし展望に酔いしれた後、硫黄岳へ足を進めます。横岳山頂直下が本日のルートで最大の難所で、梯子の上端までピッケルで手の支店を確保しつつ、アイゼンの前歯で一歩ずつ下り、梯子を下ってから諏訪側に乗り越し、鎖の難所を通過します。諏訪側のトラバースが終わって難所クリア。この充実感がたまりません。台座ノ頭を巻くザレのトラバースからはガレ場やザレ場がつづき、かなりの強風でした。時々耐風姿勢でやりすごしつつ前進しましたが、このときばかりはあまり楽しさを感じられませんでした。油断すると風でふらついて倒れたり、変なところに足を置いて負傷しかねないので、用心しながら進みます。硫黄岳山頂は風を除ける岩陰さえない吹きっさらし。風さえなければ展望はこれまた絶景なのですが、この強風に長時間身をさらすのは耐え難く、記念撮影もそこそこに主稜線を離れ、下山にかかります。

赤岳鉱泉への下り口付近から硫黄岳を振り返る

赤岩の頭の赤岳鉱泉への下降点までくると、あの強風がうそのように風が収まります。振り返ると横岳側から見るのと表情の違う硫黄岳と、横岳から赤岳へつながる八ヶ岳南部が見渡せ、その反対側には相変わらず美しい北アルプスの屏風が広がっていました。本日最後の絶景を目に焼き付けつつ、後ろ髪引かれる思いで下降点から樹林の下りに入りました。樹林帯の道はジョウゴ沢に出るまで、ほぼ一方的に下る雪道でどんどん足が出ます。およそ1時間ほどで赤岳鉱泉まで降り立ちました。

赤岳鉱泉のアイスキャンディ しばしのお別れです

赤岳鉱泉で各グループが再び合流。適宜食事をしながら1晩お世話になったテントを撤収し、各自荷物をまとめていよいよ下山です。普段なら単調で面白みの無い下山ルートも、今回の合宿山行の充実感に満たされながら、感想などを仲間と語りつつ下っていくと、飽きることもなく、美濃戸・美濃戸口へと到着しました。林道の凍結箇所がものすごくスリッピーで、飽きるどころか最後まで気が抜けなかったという一面もありましたが。

今回始めて参加した冬合宿でしたが、最高の天候に恵まれ、恵まれすぎた条件の中、冬山の魅力を十二分に堪能させていただきました。翌日の東京は吹雪。中央道・上信越道・関越道通行止め、鉄道各線運休等のニュースを聞き、窓から見る雪景色を見つつこのレポートを書いていますが、これで1日日程が延びていたら・・・やばかったですね。運の良さも痛感した冬合宿でした。

カテゴリー: 山行レポート タグ: , パーマリンク