2015.8.15-16 名取川大行沢~カケス沢

メンバー:N田軍曹  W辺

行動時間:15日 8:40大行沢入渓  9:10F1  12:50F3  14:40テン場着

16日 8:55行動開始  9:00カケス沢出合  11:15北石橋着  12:40大東岳裏登山道でテン場へ戻る  13:20撤収~下山開始  14:50大東岳登山口着

南アルプスの沢を予定していたが、ここのところのW辺の体力不足が懸念され、標高差が少なく行程の短い大行沢に変更。2日目のカケス沢はちょっと不安ではあったけれど、テン場に荷物を置いての遡行になるのできっと大丈夫。

前夜20時過ぎに集合し、仙台南ICまで東北道をひた走る。1時半頃二口キャンプ場下のトイレのある駐車場に到着。軍曹のテントで一杯飲んで車に戻り、車中泊。深夜にキャンプ場方向でチラチラしていた懐中電灯が気になり眠れず朝を迎える。

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入渓してすぐにスラブのゴルジュ。岩に付いた平水のラインより少し水位は低い。どうしてもへつれなさそうな所は、浅くステップが切られている部分も…。

 

 

 

それでも絶妙なバランスが必要とされるツルツルアリ地獄。時にやや高い所をへつらなくてはならないところもあって気が抜けない。

 

 

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水から上がる時のザックの重さといったらない。いちいち「ぬおー!」と声を出しながら身体を上げる。ゴルジュ出口のF1.よさそうなホールドが見当たらず、ザックの重さも考慮して右の巻きに決定。でもここの急なスラブの巻きも相当いやらしい。軍曹に確保してもらうが、「絶対滑るからね!絶対滑るから!引いててね!!」と喚きながら登る。人間、切羽詰まると敬語を忘れる。「はいはーい、だいじょーぶだよー。」

 

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ゴルジュを抜けると、大岩がごろんごろんしている。巨大なコケ玉があちこちに現れて、そして足元はナメ(^-^)

 

 

 

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10時頃、雷鳴が聞こえ始め、雨が当たり始める。岩の影で様子を窺うが雨足は強まる一方。登山道に逃げて10分ほどカットする。ちょうど、登山道がかなり近付く位置にいて、ラッキーだった。30分ほどで雨が上がり、明るい沢に復帰。このカットでF2を越してしまう。が、二人とも全然後悔なし!

 

 

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その先、巨岩帯が続き、荷の重さに喘ぐ私はかなり消耗する。何てことないところも一歩一歩が負荷スクワット状態。かなり不様にアスレチックワールドを行く。

「休憩する?」「します!」                     「休憩する?」「是非!!」と、頻繁に休みをもらいながら。

そういえば、足を滑らせ前方に転倒した時、あわや顔面強打か!のところ、額部分のヘルメットでガードされてセーフ。ヘルメットは顔面も守ってくれるんだなあ…と 感謝。

 

 

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位置確認しながら、「もしかしたら、2段12mも登山道で一緒に巻いちゃってたりしてー。いやー、残念だなあ。はっはっは。」なんて、淡い期待をしてしまった程、重さが足にきている。早くザックをほっぽってビールが飲みたいのだ!

でも、やはりそんなはずはなく、無情にも現れる2段12m。右から登る。確保のおかげで、それ程難儀せずに登れた。

 

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ようやく快適なナメが始まったかと思ったが、大きく穴の開いたナメ床やゴーロ混合、みたいな感じでヒタヒタ歩きができるのはもう少し先。

 

 

 

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ああ、癒されます…。

 

 

 

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カケス沢出合の手前100mほどの左岸側、広い平坦地と焚き火の跡あり。本日の幕場決定ー!やっほー!背中の子泣きじじいの呪縛から逃れられるー!!

まずビールを冷やし、寝床の準備。今回はタープで。軍曹は奥のタープの下にハンモックを吊っている。どちらもスバラシイお宿。

 

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幕場前のロケーション。最高であります。

ザックを下ろした私は途端に元気を取り戻し、スキップする勢いで出合までの偵察に。

 

 

 

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軍曹持参の串焼きは、鶏肉・エリンギ・無数の(?)ニンニク!焚き火で焼いて10片は食べた。人生で一番ニンニクを食べた記念の日。私用のチョリソーもありがとうございます(^^♪

焚き火での飯炊きもうまくいって、激辛グリーンカレーを提供。若干無理して食べてた風の軍曹。

 

よく晴れて、寒くも暑くもなく、沢から下りてくる優しい程度の風でこの上ない条件の沢泊り。頭上の木の葉の間からは星も見えていた。

二人とも、早起きしようという気は皆無で、まあとりあえず起きたら…とか、だいたい7時くらいに起きれば…とか言って9時就寝。

10時間の快眠を得て、疲れが吹っ飛んだ。昨日よりさらに水位が下がり、残りのビールが水から出ている。ぼちぼち朝食を作り、ぼちぼち準備して、9時頃ぼちぼち出発する。カケス沢から戻った後、幕場の撤収なので今日は荷物が軽い!

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カケス沢は両岸の切り立った連瀑の沢。なのでF番は私には分からない。

「お!来たな、いきなりか!」という感じで現れる滝。水流際を登っている記録もあるが、軍曹が決めたのは水流から右に離れたチムニー沿い。私も足をねじ込みながら、にじり上がる。安心できるホールドもスタンスもないけど肘も膝も背中も使って何とか。

 

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2段20mは右側を上がる。高さはあるけど立っていないので最後以外はそれほど難しくない。けど中間支点は取れないし、なによりこの高さを確保なしで上がっていくのってすごいなあー。

最後の一手一歩が恐怖だったと記憶しています…。

 

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CS3m.

軍曹の華麗な開脚。私は体勢を変えられず、最後までバック&フットもどきの格好で岩にたどり着く。「落ちる!足が滑りそう!」と、騒がしかったはず…。「3回までは落ちていーよー。」と気が抜けそうな軍曹の励まし。

 

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3mほどの直瀑。水流際にはホールドは見当たらず、右壁をトラバース気味に登る。

 

 

 

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2mほどの小滝ながら、ツルツルすべすべのスラブ滝。バランス&パワー系、そしてフェルトソールをいかに信じられるかがミソだった。水流際右のわずかな凹凸を使って身体を上げ、左足を水流中に置いて「滑りませんように」とお願いしながらそーっと体重をかける。グローブを忘れたおかげか、うまい具合にパーミングみたいな感じでちょっと盛り上がった岩肌をホールドにできた。面白い滝だった。二度登る力はないので、一回で登らなきゃならない。必死である。

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遡行のフィナーレ、北石橋に到着。自然の造形美に感動しきり。石橋の下の長いナメ滝を登り、遡行終了!

大休止の後で、下降路に入るが、「あれ?ナメ滝の下に戻っちゃったー」…GPSを睨みながら登山道を探す。雨も降ってきたし、下降路で迷うことはないだろうと思っていたのがアテが外れてほんのちょっと焦る。

踏み跡が生い茂る草で覆い隠されていたのを無事に発見して一安心。人気の沢だけど、誰にも会わず、この下降路も分からなくなるくらい歩かれてないことに驚いた。

一路、幕場へ。無事の帰還を祝って、最後のビールを半分こして撤収、下山。

泊りの沢ってなんだか、特別自然とお近づきになれる感じがすごくいい。今回は念の為のツェルトは持っていったけどそれは使わずタープにして「草にごろ寝」も良かった。帰宅後、数えられた虫食われ総数27か所。ブユにやられた瞼は赤く腫れ、翌日は戦いの後のボクサーの顔貌に。このままの顔では仕事に行けん!と眼帯まで購入した。それなのに「良かった」でまとめられてしまうくらい、沢泊りは、いい。

安全にリードしてくれる軍曹にはいつも感謝です。ありがとうございました!

 

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