2013/05/03-04 OAC春合宿 杓子岳双子尾根

報告者:Y田
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メンバー:
I倉さん(リーダー)、T中さん、K山さん、H谷さん、S水さん、Y田
その他、M崎さんリーダーの元主稜パーティ、単独縦走のS下さんも1日目は行動を共にしました。
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天候:3日くもり時々晴、4日晴れ後曇り後小雨(山頂近くはガス&強風)
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行程:
3日 8:20猿倉→10:30小日向のコル→(双子尾根)→12:10樺平
4日 6:15樺平→8:10ジャンクションピーク→9:15杓子岳山頂→10:00ジャンクションピーク→11:00~12:00樺平→(長走沢)→猿倉14:00
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小日向のコルから見た杓子岳・白馬鑓ヶ岳

猿倉駐車場。雪崩のため大雪渓通行自粛のためかさほど混んでいません。だんだん雲が取れて奥の山が見えてきました。

2013年のOAC春合宿は白馬岳エリアで、白馬岳主稜パーティ、杓子岳双子尾根パーティ、大雪渓山スキーパーティ、縦走パーティと4つに分かれての行動予定でしたが、直前に起きた大雪渓の雪崩遭難事故のため、原則として大雪渓ルートへの立入自粛の指導が出され、計画が大幅に変更となりました。その結果、大雪渓の山スキーは中止、主稜は双子尾根パーティと同じルートに変更、双子尾根も当初は杓子登頂後に大雪渓から下る計画から、双子尾根のピストンになりました。

猿倉台地への尾根取付口

4日の7:00に猿倉駐車場で集合し、猿倉荘にて計画書を掲出、記念撮影の後アイゼンを装着していよいよ入山です。出だしからバッチリ雪があり、しばらくすると大雪渓との分岐。ここから尾根を登ります。

台地に上がると雪原が広がります

朝のうちは曇りがちでしたが、天気予報通り次第に青空が広がってきます。標高1500m付近の猿倉台地まで上がってくると周囲は広々とした雪原。いかにもスキーの楽しそうな斜面が広がっていて、山スキーヤーのものと思われるテントがいくつか設営されていました。

小日向のコルへ、雪渓を上る前に小休止。背景は白馬岳。

台地の緩やかな斜面を登り、左側の雪渓を登りつめると小日向のコルです。目指す杓子岳から白馬鑓ヶ岳、唐松岳へと続く北アルプスの山並みが姿を現します。そしてここから始まる双子尾根へは一筋のトレースが続き、俄然その気にさせてくれます。

対面には八方尾根と唐松岳

小日向のコルに出ると、目の前に杓子岳・白馬鑓ヶ岳が!

双子尾根の登行。前半は気持ちいい尾根道。

小休止の後、いよいよ双子尾根の登行にかかります。双子尾根への入山者はかなり多いようでトレースはバッチリ。細かいアップダウンを繰り返して徐々に高度を上げていきます。

双子尾根の雪稜を行く。崩壊要注意です。

多少やせた部分があるものの、難所というほどの箇所はありませんが、所々雪に亀裂が見られ、雪の状態によっては崩壊や踏み抜きに注意が必要なようです。1時間少々歩くと本日の幕営地、樺平に到着です。

樺平見えた。既に先行隊が先着、あの辺が設営地に。

樺平は大きな岳樺が1本立った小さな平坦地で、ロケーションは抜群。早速基地設営の準備に取り掛かります。まずはスコップで設営地を平坦にし、周囲に雪のブロックを積み上げていきます。このブロックの切り出しが結構な重労働で腰に来ます(汗)。トイレも作ります。壁もついていて、プライバシーにも配慮されています。続いてテントの設営、アイゼン・ピッケルの置場を決め、荷物がある程度整理されたのは14時くらいでしょうか。ここからはもう飲むしかありません。夕食も含めて寝るまでの6時間程度(歩いた時間より長い!?)、お酒を交えて和気あいあい楽しいひとときを過ごしました。

設営地の様子

杓子に向け、樺平を出発。

翌日の5日、杓子岳山頂アタックです。M崎パーティ、S下さんは先行して出発。天候はまずまずですが、山頂付近はガスがかかり風が強そうです。双子尾根も樺平から先は森林限界上となり、傾斜もきつくなってきます。アイゼン・ピッケルはもちろん、ハーネスやヘルメット等を装着して気を引き締めてアタック開始です。

雄大な風景をバックに雪稜を行く

難所では念のためロープを出してクリア

途中一箇所割れ目の入った急斜面では安全のためロープを使います。3点確保で確実に1歩ずつ進みます。8時頃にはジャンクションピークの手前で下山してくるM崎パーティとすれ違い。さすがM崎パーティ、足並み揃って早いです。

 

 

雪と岩のミックスが出てきました。

ジャンクションピークを過ぎるとより傾斜がきつくなり、岩の出たミックス斜面も出現します。難所はピッケルをしっかり使って3点確保でクリアしていきます。

 

 

 

だんだんガスってきました

しかし残念ながら高度を上げるにつれガスがかかり出し、風も強くなってきます。M崎パーティの話では山頂は強風で何も見えなかったとのこと。この調子では期待できないかな。

 

 

山頂到着するも、何も見えず・・・残念

 

山頂直下の岩尾根をクリアして辿り着いた杓子岳は、事前情報どおり見事なほどのガスと風で、そそくさと記念撮影を済ませて退却します。

 

 

ミックスの岩稜帯を慎重に下ります。

下山時の難所は足元が見にくい分厄介ですが、そうした場所を繰り返すうちにかなり要領をつかんできました。ジャンクションピーク付近まで戻るとガスから開放され、展望が得られるようになります。足元には大雪渓が見え、どうやら雪崩遭難者の捜索がなお続けられているようでした。

ジャンクションピーク付近から視界が戻ってきました。

ジャンクションピークの下からは長走沢が猿倉台地まで長大なスロープが延びていて、スキーで下ったらさぞ気持ちいいだろうなーと思ってしまいつつ、雪稜を一歩ずつ、くやしいので途中で尻セードを織り交ぜつつ下って、樺平に辿り着きました。

樺平から長走沢へ下って行きます。

一定間隔を置いて雪渓を下ります。

長走沢を下る。スキーなら快適そうだが・・・

樺平にて休憩&撤収後下山しますが、双子尾根下部の雪の状態を考えた結果、長走沢を下ることになりました。それこそスキーだったらあっという間に下山出来そうなところをツボ足でズボズボと時々埋まりながら進むのはあまり快適ではありませんでしたが、時間的には双子尾根のアップダウンよりロスが少なく、短時間で猿倉台地まで降りることができました。猿倉台地からは樹林の尾根を下り、小1時間足らずで猿倉駐車場に到着です。下山時は小雨がぱらつく天気で、早めに下山できて正解でした。今回の大型連休中は白馬大雪渓の雪崩をはじめ、各地で遭難が相次ぎ、決行が危ぶまれるところでしたが、I倉リーダーの指示の基、目標の杓子岳登頂を果たし、全員無事で下山することができ、満足の行く山行となりました。

参考までに今回の山行のGPS軌跡です。デジカメ内臓の精度の低いGPS なのでご参考まで。

 

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