2013/02/09-10八ヶ岳赤岳主稜・石尊稜

【報告者 O田】
メンバー:A津さん(CL) Dona O田
1日目 美濃戸口P7:40→10:40赤岳鉱泉11:10→12:00行者小屋12:15→13:30文三郎トラバース地点→13:45主稜取付き14:00→15:001P終了点(懸垂下降)トラバース→16:00文三郎→16:30行者小屋→17:00赤岳鉱泉
2日目 赤岳鉱泉7:30→石尊稜分岐7:45→9:05石尊稜取付き9:20→15:30上部岸壁取付き→16:45稜線→行者小屋17:40→18:00赤岳鉱泉18:50→21:40美濃戸口駐車場
去年は骨折で冬は全滅、今年正月の朝日岳東南稜は風雪で撤退、冬合宿阿弥陀北稜も参加出来ずで、冬のバリエーションは今年もチャレンジ出来ないかなぁと思っていたのですが、A津さんがリーダーを引き受けてくれたので赤岳主稜・石尊稜の計画があると聞いて、未熟者ですが参加して来ました。
1日目
金曜夜発でしたが仕事が終わる時間の目処が立たないので、一人で行く事にして美濃戸口集合にしてもらう。駐車場で朝を迎えるとメール着信が有り3時過ぎに到着していたようだ。6時駐車場集合との事だったので、準備完了後に駐車場をウロウロしてみるとDonaさん発見、一段下に置いてあるA津さんの車の横に車を移動して出発を待つ
美濃戸口を出発し車道を歩き赤岳山荘をパスして、美濃戸山荘で休憩してから赤岳鉱泉へと急ぐのだが、冬のソロテントを体験したくて幕営装備と冬山装備にロープ・ガチャ類を背負っている為ペースが遅くなってしまい赤岳鉱泉着が11時近くになってしまう。ここでテントを設営させてもらい装備を仕分けてデポしてから、主稜へと出発する。行者小屋への途中で明日の石尊稜への分岐をA津さんに教えてもらい確認する。気温は少し低いが風も無く穏やかなので結構汗を掻いてしまう。行者小屋にてアイゼンとハーネスを付けてピッケルを持ってから文三郎道を登り出す。文三郎道に出ても風は無く穏やかで絶好の登攀日和なのだが時間が、かなり押しているのが気になる、11:00までに取り付ければと言っていたがトラバース地点で既に13:00を廻っている、悩んでいると赤岳から降りてきた人に「主稜ですかと?」声を掛けられる。時間が時間なので悩んでいると言うと、その方達も遅くなったので取付き確認して1P登ってから懸垂下降で戻り文三郎で赤岳ピークハントした帰りとの事、リーダーの判断で1P終了点からは懸垂下降出来そうなので、確認の為取付いてみる事にする。
トラバースを開始して半分ほど過ぎた所で胸ポケットに入れていたデジカメがスルリと下へ落ち、アッと言うまに加速して行き見えなくなる・・・デジカメを無くしたショックもあるが滑落したら、あのスピードかと思うと背筋がゾッとした。スマートフォンで撮影しようかとも思ったのですが、手袋を外す事は出来なかったので今回の八ヶ岳は画像無しです。申し訳ありません。次回からはデジカメにもセルフビレイです。取付いてみるとCS下部は雪で覆われているので上部を抜けるしかない、ネットの記録等を調べて簡単かなと思っていたが間近で見ると、緊張感もあるので手強そうだ。ザックからザイルを取り出しA津さんがトップでDonaとO田をセカンドでザイルを結びスタート!CS上部を抜けるのに少しだけ手古摺ったようだが無事通過してザイルが伸びていく1P終了点に辿り着いたようで解除のコールにビレイ解除、ザイルが引き上げられDonaさんセカンドスタート!リーチ・スタンスが無いのでCS上部を抜けるのに苦労するが、そこを乗り越えると早いようだ。見えなくなったので登りますとコールしてザイルが張られている事を確認して登り出す。CS上部を乗り越すのに少し躊躇してしまうが覚悟を決めると割りと簡単に体が持ち上がる、その上を右に上がっていくのだが何故か此処でアックスを使わずに手で登っていたため冷や汗ものだった。1P終了点に全員集合して協議の結果懸垂下降で降りる事に決定する。登ったルートではザイル回収出来ないので違うルートに下ろして、自分がトップで降りたのだが、どうにも自信が無くて登って来たルートを下ろさせてもらう、ラストのA津さんに当初下ろしたルートで懸垂してもらい無事ザイル回収。帰りのトラバースは念の為ザイルを張って通過する。誰も居ない文三郎に辿り着き下降し始めると、こんな時間に単独の若い男性がアイゼン・ピッケル・ストックも無しで上がって来る!?装備を持っているかと尋ねると「持っていない、下に置いてきて明日の偵察に来た」との事・・・見た所、足許覚束ないし、登山道にはもう誰も居ないから降りましょうと声をかけて先に降りたのだが、大丈夫だったのだろうか?赤岳鉱泉へと戻り暖房の効いた炊事部屋で暖かい夕飯を食べて21:00就寝

2日目
足に汗を掻くから翌日に靴が凍り足が冷たくなるので、用心の為靴下を履き替え、靴の中敷はお腹へ、靴をシュラフに入れて寝る。朝5:30起床し撤収準備をして食事を取り再び装備を仕分けて、小屋前7:00に集合し7:30出発する。待っている間に足先が冷たくなるが、歩き出せば大丈夫と思い歩いたが取り付きに着いても、暖まらない・・・石尊稜は西面なので昼過ぎないと太陽が当たらないし、普段よりマシとの事だが昨日よりは格段に風が強い、取り付きで待っている間にも更に冷たくなる。前パーティーが居なくなったのでA津さんトップで出発なのだがA津さんも冷えて手の感覚が無くなってしまったようで、なかなかスタート出来ず。皆でジタバタとしたり手を擦ったり足踏みしたりと体を動かしてようやく下部岸壁スタート!1P目核心と言われており雪があると埋もれて見えないので支点が取れないと聞いていたが、A津さんはスタート後にヒョイヒョイと3つ程見つけてプロテクションを取り終了点へ、その後Donaさんセカンドスタート!1ピン目回収後に続いて自分がラストスタート!するが、ショッパイ!!本当にショッパイ!!!傾斜はキツク無いのだが岩が脆く剥れるので、何だかアイゼンの前爪に掛かっている部分が剥れるんじゃないかと不安になってしまう、更に雪が無いためアックスを打ち込めず手でアンダーを掴むかアックスのピックを引っ掛けて体を持ち上げる事になる。手も足も冷え切って思うように動かないし恐怖感も出てくるが、アドレナリンが出てきているのか半分ほど来ると手足に感触が無いままでも有る程度なら登れるんだと変に感心しながら登っている自分に気付く。そうこうして1P終了点へ到着、直上するルートもあるようでハーケンも見えるがリーダーは左手草付きのスラブっぽい所を詰めて2P終了点へ3P目はコンテ又はフリーで登る人達もいるようだが念の為スタカットで、途中で右手に休憩に良さそうなテラスが在る(但しキジ場にもなっているようです)その後は、どちらかと云うと雪稜になりクライミングと云うより歩きになるが念の為全てスタカットで行動する。上部岸壁が見え初めて、青い空と大きい黒い岸壁に付いた海老の尻尾の様な白い氷が紋様のようで美しいが、時間を確認すると15:00になろうとしている。リーダーから時間的にも上部岸壁登攀は諦めてトラバースを選択する旨を告げられるが、遠めに見る限りトラバースも結構な厳しさだ(汗)主稜のトラバースより格段にヤバイ
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
それでも前のパーティーも通過しているし、リーダー先頭でトラバースを始める、まぁ割と行けそうかと思い下を見るのだが、その瞬間に足許が崩れると本当にヒヤッとする、そして崩れた雪が転がる方向を見ると大事な所がキュッとするかのが判る(汗)あ~っ何でオレこんな事しているんだっけ??と思いつつも、疲れているんだ寒いから、そんな風に思うんだと考え直す。トラバース途中からは時間節約の為コンテでトラバース完了!!その後1Pだけクライミングがありダブルアックスで通過後コンテで稜線下部まで到着。踏み跡が左右に分かれているのを確認すると左右に鎖があり16:45に一般登山道に出た事を確認する。全部をリードしていただいたA津さんにお礼を言ってザイルを解いて仕舞う、簡単に水分と食料を取ったら右手の赤岳方向へとリーダーが歩き出す。疲れているが少しホッとした気持ちで満たされながら稜線を赤岳地蔵尾根分岐へと向かい分岐を下降し始めると再び緊張したが、すぐに樹林帯に入り風が避けられる様になると本当にホッとした。両手の感覚は戻って来たが両足先の感覚は無いままだ、体を暖める為に赤岳鉱泉まで先に早足で歩いてみると少しだけ戻った気がしたがテントの撤収等で駐車場までの再出発に時間が掛かると余計に冷えてきた気がした。結局痛くなってきて我慢出来なくなったので自分だけ先に出発させてもらうが、今度は下りで指先に感覚が無くなり歩き難くなって結局、A津さんDonaさんに途中で抜かされてしまっていた。どうにかこうにか美濃戸口駐車場に辿り着き靴を脱いでコーラを一気飲みした後に温かいココアを飲んだら一気に緊張が解けた!恐る恐る足先を見ると白く冷たいが動くし取り合えずは大丈夫そうだ。A津さんDonaさんに改めて御礼を言って帰路に着く。足元にヒーターの温風が当たると血が巡って来たようで、チリチリと痛い感じが微妙に心地良かった。
凍傷にはなっていないが降りてきて3日経っても右足親指先の感覚は未だ戻らない、降りた直後は、もう2度と登りたく無いと思っていたのだが上部岸壁が気になってwebで検索している自分も居る・・・正直に言うと石尊稜は冬季のアルパイン入門と云う事で、舐めていた部分が多々あったのだと思います。フォローですが実際登ってみると天候・体力・気力・技術・連携等々総合的に積み重なり掛け合わさった物が結果として出てくるのでは無いかと感じました。未だ入り口にも立っていないのかもしれませんが、アルパインは簡単では無いけど、間口は広くて奥は深いと思った2日間でした。

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