大宮アルパインクラブ
        
DATA CONTENTS
日付 5月23日(土)、24日(日)
宿泊 前夜発テント泊、わらび山荘泊
天気 晴れ時々曇り
メンバー 石倉(L)・真野・濱田・吉田(市岳連)
歩行時間 9時間
毛木平駐車場(6:35)⇒大山祗神社(6:59)⇒慰霊碑(7:20)⇒ナメ滝(8:20)⇒千曲川信濃川水源地標(9:35)⇒稜線(10:30)⇒山頂(10:20〜10:45)⇒三宝山(11:25)⇒尻岩(12:07)⇒武信白岩(12:50)⇒大山(13:30)⇒十文字小屋(14:00〜14:10)〜毛木平駐車場(15:35)
アクセス 大宮→川越→関越自動車道・東松山IC→上信越自動車道→佐久IC→川上村・毛木平駐車場(泊)
毛木平駐車場→信濃わらび山荘(泊)→佐久IC→24日大宮
報告者【真野】
 前夜発テント泊ということで、21時半まで仕事だった私は、石倉さんにお願いして会社近くのコンビにまで迎えに来ていただいた。22時丁度位に川越を出発した。天気を気にしていたが何とか持ちそうだ。軽井沢のトンネル群を抜けたところで雨がパラついていたが、その後は星も見え不安は和らぐ。佐久ICを降り、毛木平へ向かう。毛木平駐車場周辺は唐松林でかすかな沢音を聞きながらのテント泊となる。相変わらず私は眠りにつけない。寝不足気味の早朝ではあるが、さわやかな生き生きとした鶯の鳴き声に気分はもう山一色。天気も上々だ。駐車場には多くの登山者がいた。広島からバスで来た団体客もいた。
 駐車場から登山口までは、しばらく林道を歩き十文字峠方面の分岐を左に千曲川源流遊歩道を歩いて行く。まだまだ豪快な千曲川の沢の流れと鳥の鳴き声を聞きながら進んで行くと大山祗神社。そこから苔の生えた岩や倒木が目につき始めてくる。ほどなく小さな慰霊碑がある。後で読んだガイドには戦前に発生した集中豪雨で林業従事者9名が亡くなった方の慰霊碑と知った。山腹を右に巻いたところに見てみたかった“アセビ”の花が咲いていた。山登りを始めた頃伊豆ヶ岳で見たアセビの花は7月で既に終わっていたのだ。白い小さな鈴のような花をたくさん着けた目立たぬも可愛い花だった。沢べりに登っていくとナメ滝に到着。
ここからは、沢沿いの道を時々橋で横切り徐々に高度を上げてゆく。とにかく苔で覆われた岩や倒木が多く幻想的な雰囲気を醸し出している。コメツガ林のマイナスイオンをたっぷり浴びながら疲れる体を和らげながら歩いて行く。この辺りからは残雪も目立ち始めた。沢の音がどんどん小さくなり、千曲川源流まであと0.35Kの看板。源流の地標には広島からのツアー客が10人程休憩をとっていた。我々も小休止をし、残雪の急登を30分、やっと稜線に出た。頂上へも僅かだ。東へ進み数分、富士山が望めるところで左方向を見るとガレた岩場の上に甲武信の頂上が見えた。あと一息だ。富士の山を眺めながら数分、山頂に到着した。
甲武信ヶ岳(2475m)山頂
甲武信から見る富士山も絵に描いたようで美しい
山頂には約20人の登山者がいた。東の眺望は霞が多く望めなかったが、西の方は良かった。富士山を始め、金峰山と国師を挟み南アルプスの北岳、間ノ岳、濃鳥岳、そして八ヶ岳山群がよく望めた。八ヶ岳の奥にも少し雪山が見えたがあれは北アルプスだったのかもしれない。天候を心配していたが予想以上に晴れてくれた。先が長いので20分そこそこで山頂を後に十文字峠方面に下山開始。思った以上に残雪が多かった。先日の燧ケ岳を思い出す。北側の標高の高い下山道はほぼ残雪道。ズボズボと足がはまり、脚力を奪われる。しゃくなげが生い茂り、時折開花を待つように大きい蕾をつけている木がある。すぐに埼玉県の最高峰“三宝山”。三宝山は平らな頂上、一等三角点の標石を確認するが、木立に囲まれており展望はない。高度2300mを下ると流石に雪も少なくなってきた。不思議なお尻の形をした“尻岩”で水分補給。縦走路はまだ続く。尻岩を過ぎ始めての鎖場、鎖は不要だ。梯子と一緒に鎖があるのは何故だ。久々の岩陵もすぐに終わってしまうが、比較的露岩の多い道できついけれど楽しい。遅れを取りながら3人の後を着いてゆく。残雪の歩きで少々足に負担がかかってしまった。
尻岩(丸みを帯びた二つの巨岩がピタリとくっついている)
武信白岩山を過ぎ、岩場のピークを左に下ると2回目の鎖場。十文字峠へと高度を下げてゆく。完全に雪は消滅している。十文字小屋の屋根が見えほっと一息。小屋の周りには管理人が手入れをしているそうだがしゃくなげの花がたくさん咲いていた。さあ、もうひと歩きしなければならない。十文字山の山腹は“コメツガ”の木が多くまだ蕾のしゃくなげも時々見かける。下山の歩きを甘く見ていたせいか、思いのほか足に負担がかかりきつかった。毛木平に近づくとしゃくなげも花が開いており美しい、途中の水場で足を休め最後の歩き。気がつくと約8時間と30分。千曲川の沢の音も聞こえ始め唐松の林が見え始める。ダケカンバの皮が剥げたつるつるの木肌の感触も味わいながら、ようやく最初の遊歩道との分岐に出た。15時35分駐車場到着。
十文字小屋のしゃくなげ
下山後は、県岳連の自然観察会に参加。蕨市所有の信濃わらび山荘に向かう。広大なレタス畑の間を縫うように1時間弱で到着し、ログハウスの山荘に一泊した。4時30分、丁度ありがたい時間にお風呂に入る。風呂上りには木のテラスで缶ビール、缶チュウハイで今日の山行の疲れを癒した。かなり歩いたので食事後は気持ちよくなり爆睡。翌朝はしとしと降る雨の音に気付き起床。雨のため2日目の自然観察会は中止となった。午前中に近くの山で山菜を取る予定だった。そして、前日他の参加された皆さんが取った山菜の味噌汁、高原レタスのサラダ・・川魚の塩焼き、久々のおいしい朝食をとり、帰路へ。
 どんな山旅もきついところはあるが、それ以上に得るものがある。まだまだ経験は浅いけれど、日に日に山旅に惹かれてゆき楽しくてしかたがない。もっと若いうちに山の魅力に気付きたかった。同行者のみなさん、ありがとうございました。お疲れ様でした。
甲武信ヶ岳山頂からの動画