| 大宮アルパインクラブ | |||||||||||||||
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| 報告者【ちえ】 | |||||||||||||||
| 先週の水無川本谷で今シーズンの沢幕開けとなり足慣らしをした。リーダー横田川さんは今期初。あまりハードでない、きれいな沢がいいとリクエストしたところ、仙台西の船形山、大倉川・笹木沢に決定。 前夜発、仮眠場所から翌日さらに小1時間、不安になるような山道を小1時間も辿り、やっと入渓点のP到着。先行車1台、あとから釣り人二人連れが到着。林道をくだって大倉川に入渓する。一瞬の笹こぎでも服は真っ黒になる。先行の横田川さんは、すでに竿をだしていた。しばらくは釣り糸をたらしながら遊びつつ遡行。ものの30分で20cm大2匹の釣果。横田川さんは嬉しそう。笹木沢と本谷の出会いからは遡行が本格的になるので竿は一旦格納。笹木沢はグリーンターフといわれる緑がかった沢床で有名だそうだ。綺麗ときいていたが、思ったよりも苔がついていたのと雨上がり+曇天でいまひとつ。ここは水流が勝った沢で、岩とびはあまりない。ナメも多くて美しい。途中何箇所も薄いスノーブリッジをくぐる。スノーブリッジは初めてなので、わくわくしながら不思議なトンネルに驚嘆する。F8まではあまり大きくない滝がいいテンポで続き、飽きさせない。釣り人二人を追い越したあともさらに25cm大1匹、尺モノ1匹を釣り上げて今夜のおかずは確保。F8は結構高さもあったのでザイル。そして核心、20mの鎧滝。これは圧巻だ。ため息が出るような雄雄しく美しい滝だ。左側を登るが、けっこうぬめっていていやらしく、適度なホールド・スタンスはあるものの高さもあるのでザイル。滝の落ち口、潅木をつかんで最後のひと登りというところで、この潅木がごっそり抜けてスリップ。ひやっとした。そのあとは穏やかな渓相と両側に広がるブナのすばらしい林。ブナは本当に美しい。白い幹がまっすぐに空にのびて大きく、包み込まれるような不思議な安心感をもっている。鈴のように満開のベニサラサドウダン、ウラジロヨウラクや、数箇所みかけたシラネアオイも、可憐な風情で風にゆれていた。沢自体は日帰りでも抜けられるくらいの長さだけれど、下山路が厳しいようなので、ほとんど詰めたところで幕場を確保。流木も少なく、濡れた薪から火をおこすのにだいぶ苦労するが、岩魚もこんがり焼け、尺モノは時間がかかるということで岩魚汁に。焚き火でたいた香ばしいご飯とともに最高のディナーだ。これぞ生きる喜び、というと大げさだろうか。夜半、テントをたたく雨の音。もうずっとテント泊は雨ばかり。。。 翌朝も小雨の中、消えずに残っていた熾きから焚き火復活。炊きたてのお米を混ぜご飯のモトでいただき、出発。すぐに雨は上がる。最後まで滑床と綺麗な水を残す沢は、源頭部では日本庭園のような瀟洒な美しさをたたえている。詰め上がりも、泥も藪もない素敵な沢のまま終わり、登山道にとびだす。両側に広がる深いブナ林や咲き乱れる桃色のタニウツギ、ベニサラサドウダン、苔桃などの花々に歓声をあげつつ楽しく歩く。が、楽しいのはここまで。ルートファインディングは難しく、本谷へ下降するため道なき道をコンパス頼りに分け入る。急なガケをブッシュ頼りに滑り降り、少しだけ本谷を下降。一番距離の短いブッシュ付きのガケに狙いを定めてリーダーのトップで3ピッチほど登攀。ドロ壁はすべるしかなり悪いが、なんとか地図上の林道にでた。・・・はずだが、どうみても背丈以上の潅木の自然林で道とはいえない!と私は主張する。が、足元は確かに平らでバラスの痕跡もある。間違いないらしい。こんなものが地図に立派に載っている「林道」なんて初心者の私には絶対にわからなかったろう。ひたすら激しいヤブコギをしながら雨後の木々で全身ずぶぬれになって1時間ほど歩くと、記録にあった「落ちた橋」にたどりつく。しかし谷は眼下遥かで「懸垂むり?」と思うほど。一瞬青くなったがリーダーのすばやく的確な判断は最適な下降ポイントを見つけてくれる。安心してワンピッチで堰堤下に出る。そこから目の前の小滝を登攀するも、これがぬめりとぼろぼろの砂岩で悪い。ちょっとお助け紐にすがって攀じあがる。そこからやっと藪から開放された道らしい道となる。靴を履き替えてさらに1時間半ほどで車に到着。ずぶぬれ泥んこの服を着替えて一路帰途につく。目当ての温泉は運悪く休業で、くさい沢の匂いのままの帰宅となってしまった。総括として、沢自体のグレードは2級程度だが、下山路の厳しさには上級者の経験に基づく判断が必須と感じた。落ちた橋はかれこれ10年はたっているらしく、当然その先は元林道の残骸でしかないわけだ。ひどい藪で顔も手も傷だらけ。焚き火では髪の毛を焼いてしまうし、すべった岩で膝もすねも傷だらけで、沢登りというものは楽しいけど楽じゃない。。。 【船形山 大倉川笹木沢について補足】・・横田川(L) この笹木沢はナメのきれいなお勧めの沢である。それほど難しくないので初級者でも遡行できる。しかし、下山ルートをどうするかはちょっと悩ましい。この笹木沢に行くにはいくつかのアプローチがある。ひとつは、今回我々が使ったルート。大倉川左岸に付いている大倉林道(定義林道)を進んで、林道から笹木沢の手前で大倉川本流に下降して笹木沢出合に至る方法。もうひとつは定義から続く道を十里平の先まで行って、林道終点から大倉川に入渓する方法。もうひとつあって、山形の黒伏高原の方から粟畑経由仙交小屋跡経由で大倉川本谷に降り、本谷を下って笹木沢に取り付く方法がある。車を使う場合、どのルートで下山するかによって車のデポ地点が違ってくる。定義から入山した場合の下山のルートとしては我々の取ったルートが一番労力が少なくて早く下れる。つまり、仙交小屋分岐付近から本谷に降りて、大倉林道跡に這い上がり、そのまま林道を下れば車のデポ地点に戻ることができる。ただ問題は仙交小屋分岐付近から本谷に下降して大倉林道に這いあがるまでが分かりにくくて難しい。記録には踏み跡があるとかテープがあるとかいう記録もあるが、我々もそれを見つけることができなくて、結局、読図でルートを決めることになった。読図どうりに林道跡にでることができたが、崖の登り返しも難しく沢慣れした人がいない場合はこの下山ルートは止めた方がいい。その場合は船形山まで登って、後白髪山経由の登山道で下山と言うことになる。倍以上時間はかかるが確実に下山できる。ちなみに我々のコースなら分岐から3時間くらいで車に戻ることができるが、登山道で下山すると6時間はかかる。下山がもっとも楽なルートは、粟畑経由で黒伏高原のほうに下山する方法である。1000m以上うえまで林道が伸びているので、車が2台あるなら、1台をこちらに回しておけば沢を終了してから1時間足らずで下山できる。我々の使った大倉林道跡は笹が覆いかぶさり、林道であったかどうか疑う程荒廃している。注意してないと見過ごしてしまいそうになる。大倉川の支流の赤倉沢までは踏み跡はあるものの藪こぎに近い状態である。赤倉沢は橋が落ちているので、一旦懸垂して谷に降り、対岸を登り返すことになる。赤倉沢からはふつうの林道になる。 |
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| ブナの森を行く | |||||||||||||||
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| ベニサラサドウドン | |||||||||||||||
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| ウラジロヨウラク | |||||||||||||||
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| 笹木沢 ナメ | |||||||||||||||
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| 船形山笹木沢 鎧滝 左から登ります |
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