大宮アルパインクラブ
DATA CONTENTS
日付 10/11〜10/12
宿泊 前夜発テント2泊
天気 両日ともに快晴!
メンバー 町田、原、こげん太(L)、真野、キャメル〜ン
歩行時間 11日7時間  12日7時間
アクセス 伊那IC〜戸台口駐車場〜バス〜北沢峠テン場
報告者【真野】
戸台口(仙流荘)の駐車場でそれぞれ到着後、テント若しくは車中泊。4時過ぎに全員起き、バス停に集合した。4:30から北沢峠へのバスの切符を販売するとのこと。連休の登山客が多い為、臨時バスで随時登山者を北沢峠へ送り込む。未明にはバスは出発。2時間半しか眠っていないので非常に眠い。北沢峠に着きテン場となる北沢長衛小屋へ向かう。色とりどりのテントが既に張られていた。私達も素早く場所を見つけ落ち着いた。
11日・・・甲斐駒ヶ岳
 コース 北沢長衛小屋テン場→仙水小屋→仙水峠→駒津峰→六万石→山頂→巻き道
      →六万石→駒津峰→双児山→北沢峠→北沢長衛小屋テン場
 ゆるやかな沢沿いの快適な歩きから始まる。30分ほど歩くと小じんまりとした仙水小屋にテン場を過ぎる。樹林帯と露岩を30分ほど歩くと突然岩の塊りに遭遇する。この風景は北八ヶ岳の天狗岳の黒百合ヒュッテ付近でも見られた。何故こうなっているのか不思議でならなかったのである。私は山登りを始めていろんな雑誌や紹介本、ガイドブックなどを目にしてきたが、一つ気になる本に出くわした。ヤマケイの『山が楽しくなる地形と地学』である。せっかく山に登るのだから、ただ単純に登るのではなく山の植物や土、岩、地形などにも気を留めて登りたいと思った。この仙水峠付近の岩の塊り(岩塊流)は、本によると“凍結破砕作用”で岩を細かく砕かれたものだそうです。(岩の割れ目に滲み込んだ水が凍結して膨張して結果起こる)
そんな壮大な自然の凄さを感じながら山を登るのも楽しいものだ。仙水峠からはいよいよ甲斐駒ケ岳の山頂と摩利支天峰の山容がナナカマドの向こうに見えてきた。白く威厳を放つ山容だ。早く登りたいと思った。あせる必要もないがワクワクしながら、急登に差し掛かった。熊笹やツガ、ナナカマドなどが多い低木の登りを真っ青な空と澄んだ空気と景色を堪能しながら登って行った。稜線上にある駒津峰に着くと甲斐駒ケ岳の全容が見て取れる。登山者も今日は多いので登っていく姿が見える。地図を見ると岩稜の直登コースと巻き道がある。分岐からは二手に分かれて登って行った。直登コースを登る人も多く岩稜を登り慣れていない人はゆっくりとなってしまうので渋滞してしまう。久しぶりに渋滞にはまってしまった。山頂付近の岩は日々風化していので、砂となってしまい山は全体的に白く見える、光の加減では雪が積もっているように見えることもあるだろう。頂上からの眺望は最高にいい。鳳凰三山の向こうに富士山、北岳、間の岳、塩見岳、東の方に奥秩父の山、小淵沢を挟み八ヶ岳連峰、中央アルプスの木曽駒が岳、空木岳、北アルプスの穂高連峰〜槍ヶ岳。雪の屋根をかぶった立山連峰。一度にこの眺望が体験出来るのはここだけかも知れない。
12日・・・仙丈ヶ岳
 コース 北沢長衛小屋テン場→北沢峠登山口→二合目→滝の頭五合目→藪沢小屋
      →馬の背ヒュッテ→仙丈小屋→山頂→小仙丈沢カール→小仙丈ヶ岳→滝の頭五合目
      →二合目→テン場最短の登山口へ
 前日の夕食は、マーボー春雨丼、スープ。ビールを飲みながら程よい気分。ゆっくりと皆で楽しみながら過ごした。山の夜は早い。早朝に出発するため18時頃には既に他のテントでは寝ている人もいる。私達も20時にはもうシュラフに入っていた。3時半に起き朝食を取り、5時丁度に真っ暗な中を登山口へ二合目に向かうが、まだ真っ暗だ。3合目付近、五合目に近づくにつれて周りが明るくなり歩きやすくなってきた。ここまでの道はなだらかで気持ちいい。五合目からは日陰の道で途中湧き水や沢が凍っている箇所があった。団体さんが立ち往生していたが、ガイドさんが氷を割っていた。ロープを出してくれていたのでスムーズに通れた。ところどころ凍っているので、足の運びに注意して進んだ。無人の藪沢小屋を過ぎ、大き目の藪沢を横切り、しばらく既に落葉したダケカンバの林を登ってゆくと馬の背ヒュッテに到着する。ここで長めの休憩。ナナカマドも赤い実だけ残して既に落葉している。ここからは、甲斐駒ケ岳と栗沢山を挟んで雲上に頭を出した金峰山が見える。凍った道で足踏みしていた団体さんが到着した頃に出発した。10分程で北アルプスなどを見渡せる稜線に出る。ここからは天空の散歩道。千丈の頂を目指し、周りの景色を堪能する。仙丈小屋の手前の登りは沢の水は流れの半分近くは凍っている。氷の柱となっているのもあり不思議だった。高度も徐々に上がり仙丈小屋へ到着。気温は5度。登っている時はそうでもないが、止まると非常に寒い。仙丈小屋から頂上へ目をやる途中に、いわゆる藪沢の三日月モレーンがある。前述のヤマケイの『山が楽しくなる地形と地学』によると三日月モレーンは本当はモレーンではない説があるという。少し抜粋して説明してみよう。モレーン・・・・・氷河の侵食によって削りだされた岩石の積み重なりで、丘のようになるもの。カールの地形にはこういったモレーンがいくつも観察できるそうです。小屋から稜線に登りさらに高度を上げていくと山頂が見えてきた。3033mの女性的な仙丈ヶ岳である。甲斐駒ケ岳に比べて登りも山容も優しい。昨日と今日と百名山2峰を踏んだ。3000m超えも私にとっては初めての事だった。甲斐駒ケ岳では寝不足で高山病で頭が痛かったが、今日は充分睡眠をとったため体調は万全。頂上は今日も沢山の登山者で賑わっていた。今日も遠くの山々の眺望が美しい。頂上で長めの休憩を取り、下山開始。天空の散歩道が嬉しい。小仙丈ヶ岳で休憩し、ここからテント場のテントが見える。2時間ほどで着く。ハイマツ帯に別れを告げ森林限界の世界からツガ、ブナの樹林帯へ下ってゆく。2合目からはテント場への近道を下り20分ほどで 登山口に着き無事に山行を終えることが出来た。
仙水峠付近に突然と岩塊流、後ろに摩利支天
仙水峠より駒津峰と甲斐駒山頂
花崗岩の風化により白い甲斐駒ケ岳山頂
六万石からの岩稜直登
山頂にて
仙丈ヶ岳直下の三日月モレーン
仙丈岳頂上から小仙丈へ向かう天空の散歩道
北岳と富士山の眺望
小仙丈カールにもモレーンが見られる