Omiya Alpine Club
山行報告
DATA CONTENTS
日付 2010/8/7〜8
宿泊 テント
天気 晴れ
メンバー 布村、タカ、川村、田中
歩行時間 5時間
アクセス 関越道東松山IC→長野道→扇沢→黒部アルペンルート→室堂
Report by 【田中】
★幸運にも扇沢で駐車場所確保
6日金曜22時30分大宮駅西口交番前に、川村、タカ、布村、田中が集合、川村氏自慢のブランニューX-Trail号で出発。東松山ICから関越道に乗り、上信越道、長野道を経由して扇沢へ。道中、車の中は、布村氏のオヤジギャグが炸裂(というより暴発)し、同行者の脳みそがとろける直前、午前3時に到着。扇沢の巨大な駐車場は、朝3時というのにほぼ満車状態。何度か駐車場を回っているうちに、一台スペースが開いているのを発見し、無事駐車することができた。このあと次々と車がはいってきたことを考えると本当に幸運だった。これに対応するのは難しいが、金曜発特に連休前はできるだけ早く出発するということだろう。
★6時30分の黒部アルペンルート室堂行きは順調
室堂へのアクセスは、長野県大町市から黒部アルペンルートを選択した。富山県立山周りにくらべて車の走行距離が160kmほど短いということが理由。懸案は、扇沢駅でのチケット購入に長い列ができる、という点と観光客優先で待ち時間が発生するという点。しかし、両方とも杞憂となった。チケット購入は列に並んだものの発売開始から手際よく手続きが進み15分ほどで購入完了。黒部アルペンルートも、乗り継ぎもスムーズで待ち時間含め2時間程度で8時半に室堂に到着した。このルートの見所は、黒部ダムの迫力ある放水とロープウェイから見る立山、後立山連峰の山並み。針ノ木岳は三角のピークが美しい。
★朝の室堂は登山基地
室堂駅から階段を上がると室堂平を見渡す広場に出る。立山の碑の前では記念写真を撮る登山者、小学校の林間学校とおぼしき子供達の集団、それに観光客の群れ。この日の室堂平の天候は晴。立山、別山の稜線に囲まれた室堂平の雄大な景色をみると、剱岳にやってきたというロマンチック気持ちになる。目の前を見ると、立山の雪解け水を集めた湧き水があった。名水だそうだ。湧き水を飲むと「甘い」とタカさん。さっそく水を補給し、靴の紐を結びなおし、ザックを調整していざ9:00出発。
★地獄谷から雷鳥沢へ
観光客用に整備された石畳の道を歩いてミクリガ池温泉。ここから階段を下りて、地獄谷へ。卵のくさったようなにおいが立ち込めていて、草木も生えない殺風景な場所。息を止めながら歩いて雷鳥沢ヒュッテには9時40分到着。ここから先はさらに下っていって雷鳥沢キャンプ場に到着。色とりどりのテントが張られたテント場。ここからは新室堂乗越を経由して剱御前小舎へ向かう。いよいよ剱の姿が見れるぞ。
★タカさん高山病発症
のぼりに差し掛かり、タカさんから地獄谷のイオウのにおいに酔った感じ、との訴えがあった。少し歩みも遅い。登りが急になりタカさんに遅れが発生。新室堂乗越には10時30分到着。ここで休憩を取ったが、タカさん顔が真っ青で、食欲もなく、気分が悪いという。30分ほど休憩したが回復せず、とてもこの先の登りは無理と判断。布村、川村、田中で話し合った結果、本日は雷鳥沢へもどり一泊。本日は一日休養し、明日、剱沢へ移動、明後日剱アタック後、下山とすることにした。12時に雷鳥沢に戻り、テントを張る。タカさんはベンチで座ったまま動けず。雷鳥沢のトイレが管理事務所横にあり、入り口には金沢大学医学部の看板がかかっている。本日は先生も駐在している。タカさんと一緒に訪れるとすぐに見てくれた。診断結果は、軽い高山病。登山前の2-3日残業やトレーニング、山行準備で睡眠時間が2-3時間程度しかとれていなかったことが原因。診療室のベッドが空いているのでタカさんはしばらくベッドで休養をとることにした。川村、布村、田中はテン場へもどり、昼間から日本酒でタカさんの早期回復とまだ見ぬ剱に乾杯。酔ったついでに、昨夜の夜行の疲れを取るため昼寝。午後3時、タカさんがテントに戻ってきた。本日はゆっくり休んで、明日朝元気が回復したら剱沢へ行ってもよいとのこと。しばらくテン場にいたが、食欲はなく体力がもどらない。再度、診療所を訪れ、点滴治療受けることにした。これは体力が落ちた時のための応急処置として先生から勧められたらしい。夜は、3人でご飯を作り、味噌仕立ての鍋を作って一息。夜7時ごろタカさんをお見舞いに行くと、まだ点滴の最中。結局、雷鳥沢の夜は、タカさんは診療所で夜を過ごすことになった。点滴終了直後、雷鳥沢の雲一つ無い満天の星空を見せる為に診療所から誘い出し星座の講釈をしようにも夜空が全て星だらけで上手く伝えられず、星座の勉強をしてくればと悔やまれる夜空であった。
★高山病回復せず、下山決定
6時起床、7時にタカさんをお見舞い。少し食事をとったそうだが、昨夜、11時ごろ息苦しくなって酸素吸入実施、朝も酸素吸入してベッドには横になったまま。先生からは、下山が一番の回復薬との指摘。ここに至り、チームリーダーの布村さんがOACの2010年夏合宿前半組の剱岳山行はアタックを中止し下山と決定した。タカさんの体調の小康状態回復まで待ち、下山は昼過ぎとした。布村、川村、田中の三人は正午までの時間を活用し、剱岳を見るために御前小舎まで登ることにした。8:33雷鳥沢を出発、乗越8:56、御前小舎には9:54到着。八峰、源次郎尾根は見えるが剱のピークは雲に隠れている。それでも壮大な岩の塊を感じる事ができた。3人は、小舎の前にたたずみ、雲の向こうに姿を隠したままの剱を睨み、次回はピークを陥れてやるぞと熱い思いを胸に雷鳥沢へ下った。
★下山は最良の回復薬
昼頃の室堂は観光客でごった返している。日本人以外にも中国人、韓国人、ロシア人、フランス人と外国人にも人気のようだ。13時30分室堂発のバスで下山。黒部ダムからのケーブルカーとトロリーバスが混んだが、順調で、16時前には扇沢に到着。だんだんとタカさんの顔色も良くなり、扇沢では体調ももとどおりに回復。ロープウェイで急に高度を上げたことも要因の一つかもしれない。
★ゆーぷる木崎湖はおすすめ
山行の締めくくりは、川村さんが発掘した木崎湖近くにあるゆーぷる木崎湖で一風呂。公営の温泉だそうで、夕食がついて1000円とお得。湯量豊富で、露天風呂あり、湯温も熱すぎずぬるすぎず快適です。温泉プールも併設しているので泳ぎたい人は水着必携です。扇沢下山後、お勧めの温泉です。
★反省点と収穫点
登山は出発の一週間前から始まっている、という金沢大学医学部の先生の言葉が残っている。夜行が多いOACの登山。忙しい毎日の中、時間をやりくりしての登山では、睡眠時間にしわ寄せがいきがちになる。しかし、出発の前日、前々日は、少なくとも6時間以上の睡眠をとり万全の体調で山に臨みたい。もう一つ、先生からは、新室堂乗越での引き返しは、正しい判断だったとの評価をもらった。剱沢は雷鳥沢よりも標高が高く、医者も常駐していない。そのまま強行し、剱沢で動けなくなった場合、最悪はヘリでの搬送となったということだ。不幸中の幸いだったが、正しい判断ができたということが今回の夏合宿前半組の糧としたい。
★おまけ
夏山山行は暑い!ということでスイカを持っていきました。といっても小玉(3-4kgくらい)のもの。川の水で冷やしておいて、暑いテン場で食べるのは最高においしい。尚、表皮に近い白い部分もフジッコで簡単漬物にするとお酒のおつまみになります。余裕のあるときにお勧めです。

黒部ダムは観光名所

タカさんがんばって!

お楽しみはスイカ

地獄谷をバックに剱御前小舎へ登る

剱御前小舎からの剱は雲にかくれて・・・

立山をバックに下山

室堂からわずかに剱岳のピーク?が見えた