Omiya Alpine Club
山行報告
DATA CONTENTS
日付 2010/8/12〜8/14
宿泊 テント泊
天気 8月13日 曇り   8月14日 曇り時々雨
メンバー 村上(L)、福原、菅野
歩行時間 レポ参照
アクセス
Report by 【菅野】
1日目 8月12日
甲斐駒Aフランケ赤蜘蛛ルートを登る計画が立つ。メンバーは村上、福原、菅野の3名。最も多くロー
プをつないでいるメンバーである。高い技術と経験を持つ村上さんに色々と教わってきた。今回のルー
ト攻略のために越沢バットレスでアブミの訓練を行う。何度かアブミを使ってきたがようやく最上段を
使っての立ち込みに慣れてきた。
 山行前日までにルートを頭に入れる。食当なので、食事を買い込み、ガチャを確認。前夜車で甲斐駒
ヶ岳神社の駐車場でテントで仮眠。雨が降ってきた。2時就寝。
 1日目雨。延々と黒戸尾根を歩く。道は快適ではあるものの、だらだらと長い登りが続く。途中所々
に修験者が設置したと思われる石牌を後にする。やっとのことで8合目のテント設営地へ着く。他は誰
もいない。雨と汗で体が冷えていたのでテントを張り暖をとる。天候は良くない。翌日のことを考える
と停滞も予想される。もし1本しか上れない場合は難易度の高い赤石沢奥壁Aフランケ同志会左フェー
ス(5級−)を登ることで一致する。翌日のために早く寝る。
2日目 8月13日 曇り
6時30分 テン場出発
7時30分 赤蜘蛛取り付き
8時10分 同志会 1ピッチ アブミ
9時00分     2ピッチ クラック沿い
10時00分   3ピッチ 20m途中。
11時00分   4ピッチ 敗退決定
12時00分    懸垂下降
14時00分    テント場
昨日の段階で雨はやんでいた。風が吹いていたので、雨露は吹き飛ばされているようである。
赤蜘蛛には男女2人1パーティが取り付いていた。
1ピッチ目 
本来の1ピッチは5級スラブで始まるのだが、濡れていたので手前の松から草付きを登り始める。特に
問題なし。
2ピッチ目 5級 
アブミを使いながら岩のクラック沿いに登っていくのだが、大変悪い。岩も濡れている。クラックの上
の方で村上さんが2mほど落ちる。こりゃ今日は難しいかもしれないという不安がよぎる。フォローで福
原さんがいくも最後残置シュリンゲでA0したところ、残地シュリンゲが切れて福原さんが50cm落ちた
。岩肌にかろうじてへばりついていた草のかたまりがぼろりと落ちていった。私も怖い思いしつつもな
んとかクリア。
3ピッチ目 5級
アブミで直登。村上さんが途中トラバースの必要なところでピトンを打つ。20m位でピッチを切る。
4ピッチ目 5級(本来の3ピッチの後半)
リードを村上さんから福原さんにチェンジ。10mほど直上し、トラバース。ここがかなり悪いようだ。
足元は濡れており足場はほとんどないようだ。右から左へのトラバースだったが、右にランナーをとり
その隣のピトンにアブミをかけて最上段に上がってホールドを探してたときにピトンが抜けたらしい。
8m近く落ちた。幸い福原さんはすり傷ですんだようだ。身体の様子を確認し、村上さんより敗退の提案
がでる。福原さん、私ともに合意した。この敗退の決断に至っては後述する。懸垂支点とする立ち木ま
で移動。この立ち木、直径10cmほどであったが、福原さんと私がぶら下がるとみしっといい、大変不安
を覚えそれぞれ脇の低木で体重を分散させる。
 そこでおそるおそる懸垂で下降。もう一度懸垂で下降し、赤蜘蛛の取り付きまで歩きとりあえずそこ
で大休止。無事にここまでこれてほっとする。   
 14時にはテントに戻り昼寝をして過ごす。期せずして時間を持て余して早々と宴会モードに。だら
だら飲んで食べて夜が更けるまで互いの身の上を肴のつまみにしょうもない話で盛り上がった。
3日目 8月14日 曇り時々雨
翌日起きると天気は悪い。夜に雨がひとしきり降っており、岩は濡れている状態であるのは間違いない
。結局甲斐駒ヶ岳の頂上を踏んで長い黒戸尾根を下山した。時々に雨が降っていたが、平地では雨はな
く、時々日が差していた。

最後に
 今回の山行ではいろいろと反省の余地があった。第一に敗退の決断について。
 村上さんによると、決断の一番大きな理由は時間がかかりすぎていること。このままで登りきるのに
は4時は大きく回ってしまうペースであった。時間的な余裕のなさは事故を産む要因につながる。ただ
、これについては、村上さん曰く、リードを福原さんに代わらず村上さんが続けていて難しい下半部を
越えていれば問題なくいけたのだが、その冷静な判断ができなかったこと自体が福原さんの墜落により
村上さん自身動揺していたのだろうとのことである。さらに、福原さん、私はともに赤蜘蛛ルートにつ
いては頭に入れていたが、同志会ルートについては予備知識がほとんどなかった。それも敗退を決めた
一つの要因となった。
 二つ目として、ピンがぬけたこと、残置スリングが切れたことについて。ピトンが抜けるかどうかの
判断については、@横からハンマーで打って確認する。A正規ルートの脇にあるようなものははずれや
すい。Bボルトならば、リングが回らないか確認など。対応策としては打ち直し、打ち足し、2枚重ね
など、これを必要に応じてできるようにならないといけない。また、残置スリングについては、リード
は慎重にさわる(もしくはさわらない)ので大きな心配はないが、フォローは勢いよく掴んでしまうの
で、注意が必要である。アブミ用の極細シュリンゲが古い場合は新しいものに交換する。またリングボ
ルト部分に取り付けるとき浅く入っている時は付け根にタイオフする処置が考えられる。

安全祈願しました

8合目ベースキャンプ

Aフランケ

赤蜘蛛下部

2ピッチ目 菅野

3ピッチ目フォロー中

福原リード

赤蜘蛛上部

登り返し

懸垂下降中

甲斐駒頂上