Omiya Alpine Club
山行報告
DATA CONTENTS
日付 2011/12/25
宿泊 日帰り
天気 雪、吹雪
メンバー 石倉、小川、田中、倉持、鈴木、金寺
歩行時間 歩行時間 5時間 休憩  20分
大丸温泉駐車場9:17〜 峰の茶屋避難小屋11:20〜朝日岳山頂12:30〜下り・峰の茶屋〜避難小屋13:38〜大丸温泉駐車場 14:40
アクセス 上尾→久喜駅西口→久喜IC→那須IC→大丸温泉駐車場
Report by No.1【金寺】
 那須ICから登山口に向かう途中の町並みは、まさに観光地だった。高級ホテルが隣接し、ほとんどの建物は景観に即して茶色一色。ファミリーマート、セーブオン、ココスなどの看板も茶色で趣深い。なぜかセブンイレブンだけは、あの色のままだった。あのラインマークを茶色にしたのでは、面白くないのだろうか・・・

 那須連峰は上から三本槍岳、朝日岳、茶臼岳と連なっている。今回は、その中の朝日岳のレポートです。9時過ぎに大丸駐車所に到着。皆さん雪山モードへのスイッチが入っていた。気温は思ったより寒くなく、天気は雪。粉雪だった。久しぶりのパウダースノーに感激して少し食べてみたが、おいしかった。

 9時17分、駐車場近くのトイレから登山スタート。峠の茶屋までは、アイゼンなしでコンスタントに登っていた。途中の林道続きのところではトレースがたくさんあったので、多少滑りやすく、何回かキックステップで登った(雪上訓練で教えて頂きました)。峠の茶屋を過ぎたあたりからアイゼン装着。会長から「アイゼンの爪をひっかけないように、左右の足の間隔を少し広げて歩くこと」と教えられたが、下りの時に2度もアイゼンの爪がスパッツに引っ掛かり転んでしまった。後から確認すると両方のスパッツが1cmほど破れていた・・・・雪山の場合、一歩の踏み間違いが命取りになることを体で学んだ。早く体で覚えるためには練習あるのみ。また、アイゼン歩行では滑ることはなかったが、雪がうっすらしか積もっていない岩場でのアイゼン歩行は難しかった。その分面白さもアップ。
人はアイゼンをつけることでより安全になるが、岩や植物からすると痛い目に遭うだけなのかな。まれにMの岩さん植物さんもいるかもしれないが・・・何かが生まれれば、何かが滅びる。滅びる方が自然になっていいのだろうか。ふと思ってしまった。

 11時20分、峰の茶屋避難小屋に到着し、しばし食事休憩。小川さんから戴いたキャラメルで元気復活。ここからピッケルを取り出し出発。すぐに剣ヶ峰東斜面のトラバース道が現れた。トラバースといえば映画「アイガー北壁」を思い出す。あのような横断の仕方は現実にあるのだろうか。ぜひ生で見てみたいものである。横断した後は岩場の連続で足の踏み場を探すのが面白い。また、北西から雪が吹き付ける。まるで天然シャワーのように気持ちがいい。しかし風が体の芯まで伝わったときは、「雪山を甘く見るなよ」と語りかけているようだった。

 2時30分、朝日岳山頂。やったー。雪山は、自分自身の心と体が向き合える最高の活動だ。山さん、皆さん本当にありがとうございます。みんなで記念撮影をして、10分もたたない内に下山準備。そんなとき、頂上でザックなしの2人のパーティがいた。田中さんが「ザックはどうしたの?」と青年に問いかけると、青年は「避難小屋においてきました」・・・・すかさず田中さんが「遭難したらどうするの」と仰っていた。確かに、気候が急変したり、ねんざや骨折などのけがをした場合、遭難になる確率は格段に高くなる。または、小屋に置いてあるザックが盗られたり、動物に食い散らかされたりするかもしれない。私は富士山で休憩していた途中、少し目を反らしたときにザック丸ごと盗られていたという経験がある。山に登る場合、完璧な安全は保障されない。どんなに容易な山でもリスク管理を怠ると、大きな痛手として表れる。怪我や物を盗られるだけで済むなら幸いだが、命の危険も十分にありえる。
上記のことを肝に銘じて、山に対する技術、体力の向上を目指していきます。特にこれからの重点課題は赤印に頼ることのないルートファインディングを行うことです。
 大丸駐車場には14:40分に到着し、上りよりも1時間早く下山することができた。
石倉会長、小川さん、田中さん、倉持さん、鈴木さん、ありがとうございました。

 帰りは「朝日岳を登る目的は温泉である」と語っていた方の厚い説得により温泉にも入れました。最高でした。

Report by No.2【倉持】
12/25 那須朝日岳 世間はXmas、前日「このくそ寒いのに、山かよ!!寂しいね〜」とナースに温かく送り出される。私、何を言われても、俄然やる気!!! 前夜から初雪山が楽しみで、アドレナリンが出まくり、なかなか寝付けない。

朝、山側は雪が多く、風が強いとの気象情報。会長の、強風で何度も撤退したという話が頭を過ぎる。那須IC降りると道路に積雪はないが、ちらちら雪が舞いだしてきた。大丸駐車場到着、積雪は10〜15cm程度。予想外に少ない。

11:20峰の茶屋に到着。会長から、この風だったら朝日岳まで行けるとのお言葉。
「皆さん、体調は大丈夫ですか?」の言葉に、品実、初ハイクの鈴木さんーまつ毛を凍らせながら、「大丈夫です。行きます。」との力強い一言。皆も負けじと、「行きましょう!」と朝日岳を目指す。マップの一般登山コースは“いやらしい”とのことで、西側のガレ場を登って行く。呼吸がきついーはぁはぁと自分の息遣いと足元ーゴーグルが凍り、狭くぼやけた視界。前進、前進、と必死になる。苦しいが、この己と闘っている感じが、たまらなくいい。さらに進み、西側が切れ落ちた岩場をトラバース。田中さんに、ピッケルを背中に挿してもらい、私は、しっかり鎖をつかんで越える。岩稜を登り、12:30やっとこさ‘朝日岳の肩’に着く。もう頂上は目前。力が再び湧き出してくる。休まず進む。すると、北の斜面に“テンちゃん”発見!
私たちに驚いて、一目散に駆け降りていく。

まさに、NHKのドキュメンタリー番組のような、静かな、そして厳しい雪山ー大自然を感じながら、朝日岳山頂に着く。岩のグレーと、それに付く‘エビのしっぽ’の白。何とも素晴らしい光景が広がっていた。しばし、皆で感動を味わいながら、体が冷えぬよう、素早く下山開始。下りは、東側の一般道を行く。(確認したら、トレースがあったため)雪深く、何回も足をとられるが、田中さんにアドバイスを頂きながら、確実に進む。あっという間に峰の茶屋へ。そして大丸駐車場へ戻ってきた。

その後、大丸温泉で体を温め帰路へ。田中さんにレポート課題というサプライズXmasプレゼントを頂き、濃い一日が終わった。

今回の山行では、天気は決して良くはなかったが、私は、この天気の中登らせて頂いたことに、感謝しました。吹き付ける風、寒さ、雪、岩・・・「山を感じている」と初心者ながらに思いました。
石倉会長はじめ、皆さま、本当にありがとうございました。お疲れ様でした。

Report by No.3【鈴木】
 12月25日初の雪山登頂(那須朝日岳 標高1,896m)を果たした。
夏山を少しかじった程度の私にとっては、雪山はほとんどが未知の世界であったが、今後の雪山登頂に向け3つの課題を得ることが出来たことは有意義であった。

 当日は、アイゼン、ピッケルなど雪山装備の扱いに加えて、雪上歩行など楽しみと不安な気持ちで当日を迎え、山頂に向け9:00に大丸駐車場を出発した。20〜30cm程度の積雪の上を新調したばかりの冬登山靴の温かさと歩きやすさに感心しながら進むと、体中から汗が出ていることに気付いた。3層の重ね着をしていたため、外気と体温間の適度な温度調整ができていないようであった。フリースを脱ぐことで対応はしたが、汗をかかない適度な防寒対策が1つ目の課題である。

 その後、山の斜面の傾斜が多くなる直前でアイゼンを装着した。こアイゼンは片足で約900gと決して重くはないが、長時間の歩行と着地点の不安定感により、復路では足元にかなりの疲労を感じた。足腰の体力づくり、アイゼン歩行への慣れが2つ目の課題である。同行させて頂いた諸先輩も、適宜ピッケルの使い方、アイゼン歩行についてご指導を頂けたので知識と実践が同時に体に染み込んでいく体験が出来た。

 12:30念願の山頂へ到達。激しい吹雪に晒されながら記念撮影。体から込み上げる達成感。眼下に広がる雪景色(のはずが吹雪で見えず)。この達成感は雪山も夏山も変わらない。山を登り続ける人は、この気持ちを忘れられずに登り続けるのだと再認識した。Feel mountain, feel Natureの一日でした。同行させていただきました方々、ありがとうございました。

ロープウェイ駅

峠の茶屋避難小屋

雪の岩稜を登って行く

風雪の中を登る

那須朝日岳頂上

頂上で記念写真